2011年04月09日

超小型・低背チップ電解対策



みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。

PCDPに使われているコンデンサの多くは7mmハイト品で、ちょっと薄い一部モデルでは5mmハイト品ですね。
高年式の超薄型機種ではさらに小型のチップタンタルが多く利用されていて、こちらはサイズ・性能は当然、電解コンデンサに比べても非常に長い期待寿命であり、特に経年劣化による交換などを考える必要がないわけです。

そのように考えてみると、前者は5mmハイト品のコンデンサがちゃんと入手できることや、大抵の機種には十分な内部クリアランスが有るということで特に問題はありません。


しかし、前者と後者の中間あたりの機種はどうでしょうか。

ちょうどSONYの98年〜00年あたりの機種がそうなのですが、なんとこれらには3.8mm〜4mmハイトの低背表面実装チップ電解コンデンサが使われています。

それも6.3V100uFや4V220uFが多く、松下KSシリーズや日本ケミコンKMGシリーズ、東信EC-FSシリーズなど簡単に入手できる小型品であってもまず入らない場合がほとんどです。

穴を開けたり線を引っ張って入ればそれで良いのですが、D-E808などの機種はコンデンサの真上にフィルムケーブルあって穴あけ作戦が通用せず、さらに線を引っ張っても入る場所は存在しません。


さてどうしましょう。

超小型チップ電解ですし、発売からの年数を考えてもそろそろ危ないものが出てきている頃です。
電解液を噴いたり基板を侵す前に対策したいところですが、どうしようにも入る電解コンデンサがない・・・

ここで後年の超薄型機に多く採用されているチップタンタルを使ってみるという方法があります。

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性能や特性に関してはそれほどマズイところはないでしょうから、大変効果的ではないかと思います。


私の手元にもSONY D-E770の例があります。

次の写真を見てください。チップタンタルも数多く有るなか4mmハイトのチップ電解が2個あります。

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これら表面実装のチップ電解を取り外すのは通常のラジアルリード品の取り外しに比べて大変難しく、ちょっと誤るとパターンを剥がしてしまう危険性が有るので細心の注意を払わなければいけません。

パターン破損に気をつけて取り外します。

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基板をキレイにしたらハンダ付けする前にチップタンタルがちゃんと取り付けられるサイズか確認してみましょう。同時に極性にも注意です。

そのまま取り付けできる場合はそのまま取り付ければ大丈夫です。
もし別の接点に接触してしまう場合やピッチが合わないという場合は、裏返したり線を引っ張ったりなどすれば大丈夫でしょう。
サイズが大変小さいのでどう配置しても蓋に干渉するようなことはないと思います。


ということで取り付けてみました。

どうです?まるで純正であるかのような自然さで、違和感は全くありません。

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問題なく動作していますね。チップタンタル作戦はこの機種に限らず多くの薄型機や、通常機種に対しても大変有効な方法の一つではないでしょうか。問題は価格くらいですね。

20110409005.jpg


単体での音質や光出力、薄型小型振りなどが際立つ大変優秀なPCDPにこういった小型低背チップ電解が使われていることが多くあり、その保守についてかなり頭を悩ませていた時期もありました。

なぜよりにもよって実力の高いPCDPに限ってこんな入手困難なものが使われているんだという感じですが、これでひとまずは安心ですね。


スタフ屋→http://www.sutafuya.net/
薄型機種の超小型・低背チップ電解対策→(後日ページ設置予定)
タグ:整備
posted by うきょうたかし at 23:31| Comment(9) | TrackBack(0) | PCDP

2011年04月04日

まさにポータブルCDデッキ Technics SL-XP3



みなさんこんにちは、スタフ屋の右京崇です。

実は私も時をほぼ同じくしてTechnics SL-XP3を修理していました。
SL-S300のときといい実に奇遇というか、パナソニック製品の故障間隔の長さとタフさに感動した瞬間でもあります。


20110404001.jpg

私のこのTechnics SL-XP3は1986年の恐らく2月出荷のものです。
これをゲットしたのは2010年の4月で、その当時は「電源OKだがCDがちゃんと回らない」というこれまた頻出パターンでした。

どうせコンデンサだろうということで後回しにしていたらいつの間にか電源も入らなくなり、そしてついにはもともと断線寸前だったACアダプタまで完全に断線してしまいーので散々でした。

先月偶然ACアダプターをゲットすることができたので(実はこれも断線しそう)、やっと修理に手をつけたわけです。

SL-XP50と同じく基板が二枚の構造ですが、XP50ほどの密度ではないため特に問題はなく作業完了です。

じつはメインの基板二枚とは別に、ピックアップユニット部基板・フィルムケーブル上にチップ電解が数個付いているのですが、ここはうまく外して正常品をつける自信がないので次ダメになったときまでノータッチということにしました。


中身は勿論、電源も大きいので音質についてはもう言わずもがなですね。
というかそれすら超越していますね。

聴いた瞬間あまりの別格っぷりに仰天しました。

電源が凄まじいので同じポータブルCDプレーヤーと考えてはいけません。「ポータブルCDデッキ」の名前がふさわしいでしょう。

一つ一つの音の表現から、なにより音の広さがもう凄まじいのひとことですね。
いつものCDをいつものヘッドフォンで聴いてもまったくの別物です。


クルマにたとえてみると、上から下まで綺麗な音と耐久性が自慢のオールド松下機が国産高級車であるなら、豊かな音質が自慢ながら若干ヤレの来ている個体の多いオールドSONY機はアメリカンマッスルでしょう。
そしてこの凄まじいまでの音質と物量投入感が自慢のSL-XP3はまさにベントレーなど欧州のラグジュアリーサルーンです。

とにかく全てが規格外のポータブルCDプレーヤーの一つであることは揺ぎ無い事実でしょう。


スタフ屋→http://www.sutafuya.net/
ポータブルCDプレーヤー紹介→http://www.sutafuya.net/pcdptop.html
Technics SL-XP3紹介→http://www.sutafuya.net/pcdp/slxp3.html
タグ:Panasonic 整備
posted by うきょうたかし at 21:17| Comment(8) | TrackBack(0) | PCDP